1. TOP  > 
  2. 新着情報一覧  > 
  3. ご挨拶 2020年4月

ご挨拶 2020年7月

コロナ禍緊急事態宣言がブルーベリー栽培に及ぼした影響

一般社団法人日本ブルーベリー協会 副会長 横本正樹

 中国武漢発のコロナウィルス禍がパンデミック化したことにより、世界中が大きな影響を受けています。多くの国が都市のロックダウンを実施することによって、人の行き来を止めたため、今年は世界のGDPが大幅に低下することは避けられない状況です。
 わが国は、感染者数も死亡者も比較的少なかったとは言え、2カ月に及ぶ緊急事態宣言による外出自粛要請のため、飲食・宿泊・交通などの幅広い分野で消費の萎縮が起こり、経済的に大きなダメージを受けつつあります。私たちの農業分野でも、花卉や和牛の消費激減、学校給食休止による牛乳消費の減など、負の影響が広がっています。
 では、ブルーベリーの場合はどうでしょうか。
 ブルーベリーが他の果実と異なる点は、栽培者の多くがもぎとり園(特に大都市周辺)の 経営によって成り立っている点です。市場出荷をメインにしているのは、西日本では愛媛県、東日本では関東北部や東北の諸県ではないでしょうか。
 筆者が住んでいるのは、広島県の離島であるため、もぎとり園の経営は難しく、生産量の2割は広島市場出荷、残りの8割は加工してジャム・ジュース・ソースなどの製品として出荷しています。市場出荷は、ハウスものが4月の連休頃から6月初めまで続き、以降は露地物で8月いっぱいまで続きます。
 今年も例年通り、4月21日からハウス物の出荷を始めましたが、それから5日後ちょっとした異変が起こりました。広島の市場から連絡があり、実は福岡からブルーベリーの 大量出荷(日に100ケース)があり、1パック(100g)100円でいいから取ってくれと言ってきているとのことです。話を聞いてみると、実は福岡のハウスのもぎとり園が外出自粛の影響で、どこもお客さんが来ず、やむなく市場出荷に切り換えたとのことでした。おそらく広島市場だけではなく、各地の市場に振り向けていると思われますが、1パック100円では、手取りは雀の涙ほどにしかならないでしょう。マイナスにならないだけでもましということでしょうか。
 幸い、筆者の所のブルーベリーは広島市場ではブランド化していますので、今のところ前年比15%安の1パック350円で仕切られていますが、問題は6月から本格化してくる露地物のブルーベリーです。6月以降、緊急事態宣言が解除される見込みですが、夏になって、例年通りもぎとり園のお客さんがブルーベリー園を訪れてくれるかどうか、経営者の皆さんは、今から対応策を考えておかれた方が良いかも知れません。